仮想通貨(暗号資産)の分離課税は「いつから」なのか。結論から言うと、税率20%の申告分離課税を導入する所得税法等の改正は2026年3月31日に成立済みで、適用は改正金融商品取引法(金商法)の施行日の翌年1月1日以降、早ければ2028年1月1日からと見込まれています。その前提となる、暗号資産を金商法の規制対象に移す「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は、2026年7月15日に成立しました。
この記事では、2026年9月11日時点で公表されている法律と説明資料をもとに、改正の要点、分離課税の対象になる見込みの取引、施行までのスケジュール、そして海外取引所を使っている人が今のうちに準備しておくことを整理します。施行日・対象銘柄・細かな要件は今後の政令・府令で決まるため、確定した事項と見込みを分けて書いています。
仮想通貨(暗号資産)の金商法移行:2026年7月15日成立の改正内容
これまで暗号資産は、資金決済法で「決済手段」として規制され、暗号資産交換業者の登録制度もその中に置かれていました。改正法は、暗号資産が投資対象として広く認識されている実態を踏まえ、規制の中心を金商法に移し、暗号資産を有価証券とは別の「金融商品」として位置づけます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 暗号資産の位置づけ | 資金決済法から金商法へ移管。有価証券とは別の「金融商品」として規制 |
| 業者の規制 | 「暗号資産交換業」は「暗号資産取引業」に改称され金商法に統合。投資運用・助言、暗号資産の借入れも業規制の対象に追加 |
| 情報の公表 | 暗号資産を「特定暗号資産」とそれ以外に区分し、新規販売時に加えて臨時・定期(年1回)の情報公表を義務付け |
| 不公正取引規制 | 暗号資産にインサイダー取引規制を新設(対象は国内の暗号資産取引業者が取り扱う暗号資産)。証券取引等監視委員会の調査権限と課徴金の枠組みを整備 |
| 施行時期 | 公布から1年以内の政令で定める日に施行(既存業者には登録申請中の業務継続を認める経過措置)。報道では2027年中の施行が見込まれている |
※ 出典: 金融庁の法律案説明資料(2026年4月・施行期日は「公布から1年以内」と図示)と法律事務所の解説を2026年9月11日に確認。施行日と細目は今後の政令・府令で確定します。
日本居住者にとっての直接の変化は、国内の登録業者に対する規制が「第一種金融商品取引業者に相当する水準」へ引き上げられることと、インサイダー取引規制が暗号資産にも及ぶことです。海外取引所そのものを直接規制する仕組みではありませんが、日本居住者向けに無登録で営業する事業者への警告・取り締まりの枠組みは金商法の下でも続きます。
仮想通貨の分離課税はいつから?税率20%と対象の見込み
現在、個人が暗号資産の売買で得た利益は原則として雑所得(総合課税)に区分され、給与などと合算した所得に応じて所得税5〜45%+住民税10%(最大約55%)が課されます。損失を翌年以降に繰り越すこともできません。2026年3月31日に成立した所得税法等の改正で、この扱いが次のように変わる見込みです。
| 項目 | 改正後(見込み) | 現行 |
|---|---|---|
| 税率 | 所得税15%+住民税5%=20%(復興特別所得税を除く) | 総合課税・最大約55% |
| 対象 | 「特定暗号資産」の現物取引・デリバティブ取引・ETF(投資信託)からの所得 | 暗号資産全般(雑所得) |
| 損失の繰越 | 3年間の繰越控除 | 不可 |
| 損益通算 | 特定暗号資産の現物同士で可。現物とデリバティブの間、株式など他の金融商品との間は不可 | 雑所得内のみ |
| 適用開始 | 改正金商法の施行日の翌年1月1日以降(早ければ2028年1月1日) | — |
※ 出典: 大和総研レポート(2026年2月6日)、国税庁の現行の取扱いページ。「特定暗号資産」の範囲は今後の府令等で確定するため、国内で取り扱われる全銘柄が対象になるとは限りません。
分離課税が使えるのは、改正金商法が施行された翌年の1月1日以降に「特定暗号資産」に該当する銘柄の取引で得た所得です。それまでの取引と、対象外の銘柄の取引は現行の雑所得(総合課税)のままです。2026年・2027年の確定申告は現行ルールで行う前提で準備してください。
海外取引所の仮想通貨の税金はどうなる?影響と確定していないこと
海外取引所で取引している人にとって、2026年9月時点で言えることと言えないことを分けます。
現時点で言えること
- 海外取引所で得た利益も、日本居住者である限り日本で申告する義務がある。これは改正の前後で変わらない
- 分離課税の対象は「特定暗号資産」の取引に限られる見込みで、銘柄の要件は今後決まる。海外取引所にしか上場していない銘柄が対象になるかは未確定
- 取得単価・売却価額・手数料の記録は自分で残す必要がある。海外取引所は国内業者のような年間取引報告書を発行しない場合が多い
- 施行日の翌年1月1日が区切りになる見込みのため、年をまたぐ含み損益の扱いを意識して取引履歴を年ごとに整理しておく
確定していないこと
- 改正金商法の施行日(政令で決定)と、それに連動する分離課税の適用開始日
- 「特定暗号資産」に含まれる銘柄の範囲と判定方法
- 海外取引所での取引が分離課税の対象となる条件(国内登録業者を経由しない取引の扱い)
- デリバティブ取引の細かな区分(無期限先物・レバレッジ取引の扱い)と、法定調書の提出範囲
- 海外取引所の取引履歴(現物・先物・入出金・手数料)を、CSV等で年ごとにダウンロードして保管する
- 現行ルール(雑所得・総合課税)での2026年分の申告準備を進める。給与所得者は給与以外の所得が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要(住民税は別途申告)
- 施行日と対象銘柄が政令・府令で公表されたら、国税庁と金融庁の一次情報で確認する
よくある質問
Q. 仮想通貨(暗号資産)の分離課税20%はいつから適用されますか?
A. 改正金融商品取引法の施行日の翌年1月1日以降に適用される見込みで、早ければ2028年1月1日からと見られています。改正金商法は2026年7月15日に成立しましたが、施行日は政令で決まるため、2026年9月11日時点では確定していません。
Q. 海外取引所での利益も分離課税の対象になりますか?
A. 未確定です。分離課税の対象は「特定暗号資産」の取引に限られる見込みで、その範囲は今後の府令等で決まります。海外取引所の取引が対象になる条件は公表されていないため、現時点では現行の雑所得(総合課税)で申告する前提で記録を残してください。
Q. 改正金商法で暗号資産の何が変わりますか?
A. 暗号資産の規制が資金決済法から金商法へ移り、有価証券とは別の「金融商品」として扱われます。暗号資産交換業は「暗号資産取引業」に改称され、投資運用・助言なども業規制の対象になります。また、暗号資産にインサイダー取引規制が新設されます。
Q. 分離課税になると損失の繰越はできますか?
A. 改正後は、特定暗号資産の取引で生じた損失を3年間繰り越せる見込みです。ただし、現物とデリバティブの間、株式など他の金融商品との間では損益通算できない見込みです。
Q. 2026年分の確定申告はどうすればよいですか?
A. 現行ルールのままです。暗号資産の売買益は雑所得として総合課税で申告します。給与所得者で給与以外の所得が年20万円を超える場合は所得税の確定申告が必要で、住民税は別途申告が必要です。具体的な計算は税務署・税理士にご確認ください。
出典・確認先
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