「JPYCは何に使えるのか」。発行体JPYC株式会社の契約締結前交付書面は、JPYCの主な用途を「決済や送金」と「スマートコントラクトに組み込みやすく、幅広いデジタルアプリケーションでの決済手段」と説明しています。2025年10月27日の正式リリースから約11か月、公式発表で確認できる範囲では、累計発行額は2026年5月30日時点で30億円、口座開設数は19,000件に達しました。
この記事では、JPYCの使い道を「個人の送金・決済」「Web3・DeFi」「企業向けサービス」「海外取引所」の4つに分け、発行体と提携先の公式発表で確認できる事実だけを整理します。あわせて、2026年9月17日に始まった韓国Upbitでの取引と同日の発行予約一時停止、当サイト掲載のMEXC・BingXでの取扱い状況、偽トークンの見分け方をまとめます。相場や特定サービスの利用を勧めるものではありません。
JPYCの使い道・使い方の全体像:円のまま24時間動かせる「オンチェーンの日本円」
JPYCの特徴は、日本円と1対1の価値を保ったまま、Ethereum・Avalanche・Polygon・Kaiaの4つのパブリックチェーン上で、銀行の営業時間に関係なく送受金できることです。用途を整理すると次のようになります。
| 使い道 | できること | 確認できる出典 |
|---|---|---|
| 個人間の送金 | ウォレット間でJPYCを送る。国内外を問わず、24時間365日。送金にはチェーンのガス代が必要 | 契約締結前交付書面(主な用途) |
| 決済 | JPYCを受け付ける店舗・サービスでの支払い。決済用途はスマートコントラクトへの組み込みを含む | 契約締結前交付書面。TISがステーブルコイン決済支援サービスを2026年秋以降に正式提供目標 |
| Web3・DeFi | ERC-20トークンとして分散型取引所やアプリケーションで利用。対応はサービスごと | 契約締結前交付書面(スマートコントラクトへの組み込み) |
| 企業の入出金 | 企業向けの送金指示・残高照会・ウォレット管理を既存システムと連携 | アステリア「JPYCゲートウェイ」(2026年1月β版) |
| 海外取引所 | 2026年9月17日に韓国Upbitで取引開始(KRW・BTC・USDT建て)。MEXC・BingXは対応を確認できず | Upbit公式告知 |
※ 「できること」はJPYCというトークンの性質として可能なことで、個々の店舗・サービス・取引所が対応しているかは各事業者の案内で確認してください。
JPYCの裏付け資産(日本円の預貯金・国債)の運用益は発行体側のもので、保有者に利息や配当は支払われません。発行体は預金保険の対象でもありません。利用者資金は資金決済法の履行保証金制度に基づき、東京法務局への供託または履行保証金信託で保全されています(契約締結前交付書面)。
個人の使い方:ウォレットへの受け取り・送金・決済
個人がJPYCを使う流れは、JPYC EXで発行→自分のウォレットで受け取る→送金や決済に使う→不要になったらJPYC EXで日本円に償還する、の4段階です。発行と償還の手順は別のコラムにまとめています。
JPYCの買い方・購入方法【2026年9月】JPYC EXでの発行手順 →
ウォレットの選び方
公式FAQは、JPYC EXに接続できるウォレットの条件として「WalletConnect機能に対応」「カスタムトークンの追加機能がある」「利用するネットワークに対応」の3点を挙げ、JPYCを標準表示できるウォレットとしてHashPort WalletとUnifiを紹介しています。2026年7月13日には、ウォレットアプリからJPYC EXのログイン・発行・償還画面へ直接つなぐ「JPYC EX連携API」の提供が始まり、HashPort Walletとの連携が予定されています。
送金・決済で先に知っておくこと
- 送金にはチェーンごとのガス代がかかり、ETH・AVAX・POL・KAIAなどのネイティブ通貨で支払う。JPYCだけでは送れない
- 送金は取り消せない。アドレスとネットワークを取り違えると資産を失う
- 決済に使えるかどうかは店舗・サービス側の対応次第。JPYCを受け付けている旨を各事業者の案内で確認する
- JPYC EXでの発行・償還は1回100万円まで。まとまった金額を動かす場合は回数と期日の管理が必要
Web3・DeFiと企業向けサービス:スマートコントラクトに組み込める日本円
JPYCはERC-20規格のトークンなので、分散型取引所やレンディングなどのアプリケーションに、日本円建ての資産として組み込めます。これが「スマートコントラクトに組み込みやすい」という発行体の説明の意味です。ただし、どのDeFiサービスがJPYCに対応しているかは発行体が保証するものではなく、サービスごとの確認が必要です。海外のサービスを利用する場合は、日本の金融庁に登録のない事業者である点も含めて、自己責任の範囲が広くなります。
企業向けには、公式発表で次の2つの動きが確認できます。TIS株式会社は2025年10月31日にJPYC株式会社と基本合意書を締結し、事業者が独自システムを構築せずにJPYCによる決済を導入できる「ステーブルコイン決済支援サービス」を2026年春〜夏に実証、秋以降の正式提供を目標としています(2025年11月14日発表)。アステリア株式会社は、企業の送金指示・残高照会・ウォレット管理・ガス代負担に対応する「JPYCゲートウェイ」を発表し、2026年1月13日からβ版を提供しています(2025年12月18日発表)。
JPYC株式会社は2025年10月28日の注意喚起で、同社および代表を名乗る偽アカウントが確認されていること、同社や代表がLINEグループやDiscordなどの外部コミュニティへ勧誘したり、暗号資産交換業者等のサービスへ誘導したりすることはないことを明記しています。JPYCを名乗る投資勧誘は、それ自体が公式と無関係である証拠と考えてください。
海外取引所への入金はできる?Upbit上場(2026年9月17日)とMEXC・BingXの状況
海外の暗号資産取引所でJPYCを使えるかは、その取引所がJPYCの入出金と取引ペアに対応しているかで決まります。2026年9月18日時点で公式に確認できる状況は次のとおりです。
| 取引所 | 状況 | 確認先 |
|---|---|---|
| Upbit(韓国) | 2026年9月17日18:00(韓国時間)に取引開始。取引ペアはKRW・BTC・USDTの3市場。入出金はEthereumネットワークのみ。取引開始は当初12:00の予定から15:00、18:00へ2回延期 | Upbit公式告知 |
| MEXC | JPYCの入金・現物取引への対応を公式ページで確認できず | MEXC公式サイト |
| BingX | JPYCの入金・現物取引への対応を公式ページで確認できず | BingX公式サイト |
※ 取引所の対応銘柄・ネットワークは変わります。送金前に必ず各取引所の入金画面で「JPYC」と「Ethereum」など対応ネットワークの表示を確認し、表示がなければ送らないでください。対応していない取引所へ送ったJPYCは戻りません。
Upbit上場当日にJPYC EXで起きたこと
JPYC EXの公式FAQによると、2026年9月17日19時15分頃からEthereumネットワーク上のJPYC発行予約が一時停止され、21時30分の追記でPolygonネットワークの発行予約も停止、23時20分の追記でEthereumが復旧、翌18日0時15分の追記でPolygonも復旧しました。停止の理由は「原因の調査」とされ、発行体は詳細が判明次第あらためて案内するとしています。Avalanche・Kaiaでの発行と、償還の停止は告知されていません。
1JPYC=1円が約束されているのは、発行体による発行と償還(JPYC EX)だけです。取引所での売買価格は需給で決まるため、上場直後など流動性が薄い局面では1円から離れた価格で約定することがあります。Upbitの告知でも、取引開始から約5分間は買い注文を制限し、約2時間は指値注文以外を制限すると案内されています。1円より高く買ったJPYCをJPYC EXで償還しても、受け取れるのは1JPYCあたり1円です。
海外取引所で使う前の確認手順
- 01取引所の入金画面でJPYCと対応ネットワークを確認
銘柄一覧に「JPYC」があり、Ethereumなど自分が送るネットワークが選べることを確認します。表示がなければ対応していません。
- 02コントラクトアドレスを照合
取引所が案内するJPYCのコントラクトが公式(0xE7C3D8C9a439feDe00D2600032D5dB0Be71C3c29)と一致するか確認します。Upbitの告知にもこのアドレスが明記されています。
- 03少額で試す
下限(3,000円)に近い金額で送金→反映→出金までを一度確認してから金額を増やします。
- 04税金の記録を残す
JPYCを暗号資産やUSDTと交換すると、その時点で暗号資産側の損益が確定します。取引履歴を保存し、円換算の基準を決めておきます。
よくある質問
Q. JPYCは何に使えますか?
A. 発行体の契約締結前交付書面は、主な用途を「決済や送金」と「スマートコントラクトに組み込んだデジタルアプリケーションでの決済手段」としています。個人はウォレット間の送金や対応店舗・サービスでの決済に、企業はTISの決済支援サービス(2026年秋以降正式提供目標)やアステリアの「JPYCゲートウェイ」のような入出金管理に使う動きが公式発表で確認できます。
Q. JPYCはコンビニや店舗で使えますか?
A. 使えるかどうかは店舗・サービス側がJPYC決済に対応しているかで決まります。2026年9月18日時点で、発行体の公式資料に「使える店舗一覧」の案内はなく、TISのステーブルコイン決済支援サービスは2026年秋以降の正式提供が目標です。利用したい店舗・サービスの案内で個別に確認してください。
Q. JPYCを海外取引所に入金できますか?
A. 取引所ごとに異なります。韓国のUpbitは2026年9月17日からKRW・BTC・USDT建てで取引を開始し、入出金はEthereumのみです。当サイト掲載のMEXC・BingXでは、2026年9月18日時点でJPYCの入金・取引への対応を公式ページで確認できていません。対応していない取引所へ送ると資産を失います。
Q. Upbit上場でJPYCの発行が止まったのはなぜですか?
A. JPYC EXの公式FAQによると、2026年9月17日19時15分頃からEthereum、同日21時30分の追記でPolygonの発行予約が「原因の調査」のため一時停止され、Ethereumは同日23時20分、Polygonは翌18日0時15分の追記で復旧しました。原因の詳細は判明次第案内するとされています。
Q. JPYCを持っているだけで利息はつきますか?
A. つきません。裏付け資産(日本円の預貯金・国債)の運用益は発行体側のもので、保有者には配当されません。JPYCは預金ではなく預金保険の対象外で、利用者資金は資金決済法の履行保証金制度(供託または信託)で保全されています。
Q. JPYCを使ったDeFiは安全ですか?
A. JPYC自体の1円での償還は発行体が約束していますが、JPYCを預けたDeFiサービスやDEXの安全性は発行体が保証するものではありません。海外のサービスは日本の金融庁に登録がなく、スマートコントラクトの不具合や運営者のリスクは利用者が負います。少額で試し、対応コントラクトを照合してから使ってください。
出典・確認先
- JPYC株式会社|契約締結前交付書面兼説明書(資金移動業)(PDF・上限額・手数料・履行保証金・対応チェーン) →
- JPYC株式会社|日本円ステーブルコイン「JPYC」および「JPYC EX」を正式リリース(2025年10月24日・PR TIMES) →
- JPYC株式会社|JPYC EXの累計口座開設数19,000件・累計発行額30億円を突破(2026年6月2日・PR TIMES) →
- JPYC株式会社|「JPYC EX連携API」の提供を開始(2026年7月13日・PR TIMES) →
- JPYC EX FAQ|JPYC EXを利用できる対応ウォレットの基準(2026年5月22日更新) →
- JPYC EX FAQ|【お知らせ】JPYC発行予約の一時停止状況について(2026年9月17日・18日追記) →
- JPYC株式会社|偽のトークン(偽JPYC)取引および偽のSNSアカウントに関する注意喚起(2025年10月28日) →
- Upbit|PYUSD・JPYC 新規取引サポートのお知らせ(KRW・BTC・USDT市場・2026年9月17日・韓国語) →
- TIS株式会社|JPYC株式会社とステーブルコイン決済の社会実装に向けた基本合意書を締結(2025年11月14日) →
- アステリア株式会社|企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYCゲートウェイ」を発表(2025年12月18日) →
- JPYC株式会社|JPYC EX 公式サイト →
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