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海外取引所の仮想通貨の確定申告のやり方|損益計算(総平均法・移動平均法)・国税庁の計算書・納税方法まで

海外取引所(MEXC・BingXなど)の仮想通貨の確定申告のやり方を4手順で解説。取引履歴の円換算、総平均法・移動平均法の損益計算と国税庁の計算書、評価方法の届出、確定申告書等作成コーナーでの申告、納税方法まで、国税庁の資料にもとづいて整理。

海外取引所(MEXC・BingXなど)で仮想通貨(暗号資産)の利益が出た場合の確定申告は、国内取引所と同じく雑所得として行いますが、国内取引所のような「年間取引報告書」が無いため、取引履歴の取得と円換算、損益計算を自分で行う必要があります。この作業を後回しにすると、翌年2〜3月に1年分の取引を遡ることになり、取得価額が分からないまま「売却価額の5%相当額を取得価額とする」不利な計算を選ばざるを得なくなることもあります。

この記事では、国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)と手続案内にもとづき、①取引履歴の準備と円換算、②総平均法・移動平均法による損益計算と国税庁の計算書、③確定申告書等作成コーナーでの申告、④納税方法、の4手順で確定申告のやり方を整理します。2026年9月22日時点の法令・手続にもとづきます。

海外取引所の仮想通貨の利益も確定申告が必要(雑所得・総合課税)

日本の居住者は、国内外を問わず全ての所得が所得税の課税対象です。暗号資産取引で生じた利益は原則として雑所得(その他雑所得)に区分され、給与などと合算する総合課税で申告します(国税庁FAQ 2-2)。海外取引所の利益であっても区分・計算は同じです。確定申告が必要になる主な条件は次のとおりです。

確定申告が必要になる主な場合(タックスアンサー No.1900)
立場申告が必要になる条件補足
会社員(1か所から給与・年末調整あり)給与・退職所得以外の所得(仮想通貨の利益を含む)の合計が年20万円を超える20万円以下でも住民税の申告は必要
給与収入が2,000万円超金額にかかわらず申告が必要20万円ルールの対象外
給与以外の人(個人事業主・専業など)所得の合計が基礎控除などの所得控除の合計を超える20万円ルールは会社員向けの規定
損失だけの年所得税の申告義務は生じない(申告してもよい)取引履歴・計算の記録は残しておく

※ 「20万円」は売却額ではなく、譲渡原価や手数料などの必要経費を差し引いた「利益(所得)」で判定します。

申告の期限は、翌年の2月16日から3月15日まで(3月15日が土・日・祝日の場合は翌開庁日)です。住民税は確定申告をすれば市区町村へ内容が共有されるため、別途の申告は不要です。

手順1|取引履歴をダウンロードして円換算する

国内の暗号資産交換業者は、国税庁の依頼にもとづき年中の購入数量・購入金額・売却数量・売却金額などを記載した「年間取引報告書」を交付していますが、海外取引所にはこの仕組みがありません。国税庁FAQ 2-7は、国外の暗号資産交換業者を通じた取引について、次の方法で取得価額・売却価額を確認するよう案内しています。

  • 暗号資産を購入した際の銀行口座の出金状況、売却した際の入金状況から金額を確認する
  • 取引所の取引履歴と、暗号資産交換業者が公表する取引相場を利用して、取得価額・売却価額を確認する
  • 確定申告後に正しい金額が判明した場合は、修正申告または更正の請求で訂正する
  1. 01
    各取引所の取引履歴(現物・先物・入出金・手数料・エアドロップ等の受取)を年単位でダウンロードする

    多くの取引所は履歴の取得期間や保存期間に制限があるため、年内に一度取得しておく

  2. 02
    USDT建てなど外貨・暗号資産建ての取引は、取引時点のレートで日本円に換算する

    使用したレートの出所(取引所の公表相場など)を記録する

  3. 03
    国内取引所から海外取引所へ送金した暗号資産は、国内で購入したときの取得価額を引き継ぐ

    送金自体は譲渡ではない

  4. 04
    暗号資産同士の交換と決済も一覧に含める

    暗号資産同士の交換(BTC→USDTなど)と、暗号資産での決済も譲渡として一覧に含める(FAQ 1-2・1-3)

取得価額が分からないと「売却価額の5%」しか認められない

取引履歴を残しておらず取得価額が確認できない場合、売却した暗号資産の取得価額を売却価額の5%相当額とすることが認められています(FAQ 2-7)。例えば500万円で売却した暗号資産の取得価額が不明なら25万円とみなされ、475万円が所得として計算されます。実際の取得価額がこれより高ければ、記録を残していないことで所得が大きく計算されることになります。

手順2|損益計算(総平均法・移動平均法)と国税庁の「暗号資産の計算書」

同じ種類の暗号資産を年に何度も売買した場合、売却ごとの所得ではなく、暗号資産の種類ごとに1年間の譲渡原価を計算します。譲渡原価は「①年初に保有していた暗号資産の評価額」+「②その年に取得した暗号資産の取得価額の総額」−「③年末に保有する暗号資産の評価額」で求め、③の評価額は総平均法または移動平均法で算出します(FAQ 2-4)。

総平均法と移動平均法の違い(国税庁FAQ 2-4の設例)
項目総平均法移動平均法
単価の求め方その年の購入総額 ÷ 購入総数量(年初残高を含む)を年間の平均単価とする購入のたびに、直前の残高と購入分を合算して平均単価を更新する
設例の譲渡原価(売却5BTC・売却額5,295,000円)3,106,000円3,080,200円
設例の所得2,189,000円2,214,800円
計算の手間年末にまとめて計算できる取引の都度、単価を管理する
適用届出をしなければ総平均法(法定評価方法)届出書を提出した場合に選択できる

※ 設例は3月1日〜11月30日に4回の購入と2回の売却を行ったケース(FAQ 2-4)。同じ取引でも評価方法によってその年の所得が変わります。

評価方法は暗号資産の種類ごとに選定します。初めて暗号資産を取得した年分、または異なる種類の暗号資産を取得した年分の確定申告期限までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を納税地の税務署長に提出し、提出がない場合は総平均法で評価します(国税庁A1-20・FAQ 2-5)。前年以前に同じ種類の暗号資産を取得している場合は改めて提出する必要はなく、変更したいときはその年の3月15日までに「変更承認申請書」を提出して承認を受けます(FAQ 2-6・A1-25)。届出書はe-Taxソフトで作成・提出できるほか、書面で持参・送付もできます。

国税庁のウェブサイトには「暗号資産の計算書」(総平均法用・移動平均法用のExcel)が公開されており、年間の購入数量・購入金額・売却数量・売却金額と前年からの繰越残高を入力すれば所得金額を計算できます(FAQ 2-8)。国内取引所の年間取引報告書の数値をそのまま入力する前提の様式ですが、海外取引所の取引も手順1で円換算した年間の合計値を入力すれば同じように使えます。取引所や銘柄が多い場合は、取引履歴を取り込んで移動平均法・総平均法の両方で計算できる民間の損益計算ツールを使う方法もありますが、計算結果の根拠となる取引履歴とレートは自分で保存してください。

先物(証拠金取引)の損益も総合課税

暗号資産の証拠金取引(無期限先物など)の所得は、FXのような申告分離課税(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)の適用がなく、総合課税で申告します(FAQ 2-12)。現物の売買益と同じ雑所得として合算し、先物の損失は同じ年の現物の利益と相殺できますが、翌年への繰越はできません。

手順3|確定申告書等作成コーナーで申告書を作成して提出する

計算した所得金額は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書に入力します。給与所得者は源泉徴収票の内容を入力したうえで、「雑所得(その他)」の欄に暗号資産の収入金額(譲渡価額の合計)と必要経費(譲渡原価・手数料等)を入力し、種目は「暗号資産」、支払者は取引所名(海外取引所は英語名のまま)を記載します。作成した申告書はマイナンバーカードとスマートフォンまたはICカードリーダーでe-Tax送信できるほか、印刷して税務署へ持参・郵送することもできます。

  1. 01
    確定申告書等作成コーナーを開き、「所得税」を選択

    マイナンバーカードでe-Taxを利用する場合は事前にマイナポータル連携等の準備をする

  2. 02
    給与所得(源泉徴収票)を入力し、雑所得(その他)に暗号資産の収入金額・必要経費・所得金額を入力する

    複数の取引所がある場合は暗号資産の種類ごとの合計で入力し、明細は手元に保存する

  3. 03
    所得控除を入力して税額を確認する

    所得控除(社会保険料、生命保険料、医療費控除など)を入力し、税額を確認する

  4. 04
    e-Taxで送信、または印刷して提出

    提出後は受信通知(e-Tax)または控えを保存する

  5. 05
    必要な年は評価方法の届出書も提出する

    評価方法の届出書が必要な年(初めて取得した年など)は、申告と同じ期限までにe-Taxソフトまたは書面で提出する

作成コーナーの操作や暗号資産の入力欄は年分ごとに更新されるため、申告する年分の画面の案内に従ってください。申告内容の根拠となる取引履歴・円換算の計算・経費の領収書は、申告書の提出後も申告書の控えとともに保存しておきます(保存期間の定めは所得区分や帳簿の有無で異なるため、税務署の案内に従ってください)。

手順4|納税方法(納期限は申告期限と同じ)

申告した所得税は、申告期限と同じ3月15日(土・日・祝日なら翌開庁日)までに自分で納付します。申告書を提出しても税務署から納付書や通知は送られてこないため(国税庁G-2)、納付方法を自分で選んで手続きします。

国税の納付方法(国税庁 G-2 国税の納付手続)
方法内容補足
振替納税事前に届出をした預貯金口座から、国税庁が指定する振替日に自動で引落し所得税は申告期限より後の振替日になる(年分ごとに国税庁が公表)
ダイレクト納付e-Taxを利用して、届出済みの預貯金口座から引落しe-Taxで申告した人向け
インターネットバンキング等インターネットバンキング口座やATMから納付登録方式・入力方式がある
クレジットカード納付「国税クレジットカードお支払サイト」を経由して納付決済手数料は納税者負担
スマホアプリ納付「国税スマートフォン決済専用サイト」を経由して「○○Pay」で納付利用できるアプリと上限額はサイトで確認
コンビニ納付(QRコード・バーコード)自宅で作成したQRコードまたは税務署発行のバーコード付納付書で納付を委託金額の上限あり
窓口納付金融機関や税務署の窓口で納付納付書が必要

※ 納期限に遅れると、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税が加算されます(国税庁G-2)。

住民税は、確定申告の内容にもとづいて市区町村が税額を計算し、翌年度(6月以降)に通知が届きます。会社員は給与からの天引き(特別徴収)か自分で納付(普通徴収)かを申告書で選べます。仮想通貨の利益分の住民税を給与天引きにしたくない場合は、申告書の住民税に関する事項で普通徴収を選択します。

海外取引所の確定申告で間違えやすい点

  • USDTのまま保有している利益を「まだ円にしていない」として申告から外す:暗号資産同士の交換は交換時点で課税(FAQ 1-3)
  • 先物の損益を申告分離(FX扱い)で申告する:暗号資産の証拠金取引は総合課税の雑所得(FAQ 2-12)
  • ボーナス・エアドロップで受け取ったトークンを収入に含めない:取得時の時価が収入になる(FAQ 1-5・1-7)
  • 取引所ごとに損益を分けて申告する:暗号資産の種類ごとに合算して計算するのが原則(FAQ 2-4)
  • 国内取引所から送金した暗号資産の取得価額を0円にする:国内で購入したときの取得価額を引き継ぐ
  • 海外取引所の利益は把握されないと考える:2026年1月施行のCARFで取引所からの情報が国税庁に届く仕組みがある

海外取引所の仮想通貨の利益はバレる?CARFと税務調査の実態 →

本記事の位置づけ

本記事は2026年9月22日時点の国税庁の公表資料にもとづく一般的な手順の整理で、個別の税務相談ではありません。取引の内容や所得の状況によって計算・申告の方法が異なる場合があるため、具体的な判断は税理士または税務署に相談してください。

よくある質問

Q. 海外取引所の仮想通貨の利益は確定申告が必要ですか?

A. 必要です。日本の居住者は国内外を問わず全ての所得が課税対象で、海外取引所の利益も雑所得として総合課税で申告します(国税庁FAQ 2-2)。会社員は給与以外の所得の合計が年20万円を超える場合に所得税の確定申告が必要で、20万円以下でも住民税の申告は必要です。

Q. 海外取引所には年間取引報告書が無いのですが、どう計算しますか?

A. 国税庁FAQ 2-7は、国外の取引所を通じた取引について、銀行口座の入出金状況や取引所の取引履歴と公表相場を使って取得価額・売却価額を確認するよう案内しています。取引履歴をダウンロードし、取引時点のレートで円換算したうえで、暗号資産の種類ごとに総平均法または移動平均法で譲渡原価を計算します。

Q. 総平均法と移動平均法はどちらを使えばよいですか?

A. 届出をしなければ総平均法(法定評価方法)が適用されます。移動平均法を使うには、初めて暗号資産を取得した年分(または異なる種類を取得した年分)の確定申告期限までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出します(国税庁A1-20・FAQ 2-5)。変更するときは、その年の3月15日までに変更承認申請書を提出して承認を受けます。

Q. 国税庁の「暗号資産の計算書」は海外取引所でも使えますか?

A. 使えます。総平均法用・移動平均法用のExcelが国税庁のウェブサイトに公開されており、年間の購入数量・購入金額・売却数量・売却金額と前年からの繰越残高を入力すれば所得金額を計算できます(FAQ 2-8)。海外取引所の取引は、円換算した年間の合計値を入力します。

Q. 取引履歴を残しておらず取得価額が分かりません。どうなりますか?

A. 売却した暗号資産の取得価額を売却価額の5%相当額とすることが認められています(FAQ 2-7)。500万円で売却した場合は25万円が取得価額とみなされ、475万円が所得として計算されます。実際の取得価額が分かる資料(銀行口座の出金記録、取引所の履歴など)を集められれば、それにもとづいて計算します。

Q. 仮想通貨の先物取引の損益はFXと同じ申告分離課税ですか?

A. 違います。暗号資産の証拠金取引は租税特別措置法の申告分離課税の対象から除かれており、総合課税の雑所得として申告します(FAQ 2-12)。現物の売買益と合算し、損失は同じ年の雑所得内で相殺できますが翌年に繰り越せません。

Q. 所得税はいつまでに、どうやって納めますか?

A. 申告期限と同じ翌年3月15日(土・日・祝日なら翌開庁日)までに、振替納税・ダイレクト納付・インターネットバンキング・クレジットカード・スマホアプリ・コンビニ・窓口のいずれかで納付します(国税庁G-2)。申告書を提出しても納付書は送られてこないため、自分で手続きが必要です。遅れると延滞税がかかります。

出典・確認先

本記事の根拠と最新情報の確認先本コラムは2026年9月22日時点で、上記の公式一次情報と当サイトの掲載データを確認して編集しています。法令・制度・各社の提供内容は変更される場合があるため、判断の前に各公式情報で最終確認してください。
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